塀の向こうから、誰かがレンズ越しに覗いている...
砥石で包丁を研ぐ音が、神経を逆撫でる。
捌かれる鶏の、落ち着きない挙動。漆黒の目は、待ち受ける運命を知ってか知らずか。
腰に響く軽快なリズム。蒸せ返る生活臭。
灼熱の太陽が、路地裏に暗い影を映す。此処は、リオの深淵部。ファベーラ。
突然音楽が止み、カメラは路上の血溜まりに向けられる。
鶏が駆け出す。
「捕まえろ!」遊戯を楽しむかのように男が叫び、走り出す子供達。手に手に銃を持って、鶏を追いかける。
井戸端の雑談。
洗濯。食事。
街の日常に、響く銃声。
鶏は、そんな人々の営みを尻目に、縦横無尽に路地を駆ける。
からくも轢かれそうになりながら、車の下を駆け抜け、当初の恐怖を忘れたかのように、はたまた危険が去ったと錯覚したのか、止まった。...
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